このままの面白さ

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私がこのブログを立ち上げたのは、発達障害のお子さんを育てるお母さんの少しでも支えになればいいという気持ちからであった。始めた頃はやる気に満ち溢れていたし、毎日の更新もきっとできると思っていた。私は曲がりなりにも薬剤師であるし、薬についてもわかりやすく記事を載せて、毎日は無理でも週1回は記事を書くんだ。と確信に近い決心をしていた。それがどうだ。あれから一年、書いた記事は6個。浦島太郎みたいに玉手箱を開けたら一年後の世界になってたんです。実際は1週間しか経ってなかったはずです!私のせいじゃありません、助けた亀と玉手箱のせいですと周りに言い訳したい。

しかしこの一年でいろんなことがあった。母は亡くなった。発達障害で小5から不登校の息子は中2になった。思春期真っ只中で、本人も辛いとは思う。自分の中学生時代を思い出してみると暗澹とした気持ちになる。ホルモンのやつめが大暴走を始めて、その大波暴風雨に翻弄されてとにかく世界が憎くてたまらなかったあの時代。私には友達がいて、友達との恋バナや手紙交換が支えだった。同じように周りのみんなも発狂の時代を共闘しているとわかって、なんとか生き延びることができたと思う。しかし、息子。息子には友達と呼べる存在があまりいない。学校という特殊な環境を選択しなかったためだ。市の適応指導教室や放デイには通っていて、そこで話す友達はいる。でも、学校のように、怖い先生の授業を共に受けたり、怖い不良グループに目をつけられないように気の合う友達と上手く立ち回ったり、放課後好きな人の部活姿にときめいて友達同士でワイワイしたり、テスト前に勉強を教えあったり、親への反抗心を語り合ったり、そういうことで感情の揺れを分かち合える仲間がいないのだ。もしかしたら息子は、世界で戦っているのは自分1人だけだと思っているのかもしれない。どこに救いを求めるんだろう。こういう子は。彼の気持ちを考えると、柔らかな心臓をギュッと握りつぶされるような胸の痛みを感じる。

我が家の場合。息子は弟と母親の私に感情をぶつける。弟はそのイライラを学校で発散したり、私に向けたりする。そんな我が家は戦場と化す。司令塔の私は停戦作戦に向けて、争いがあった日の状況を手帳にメモするようにしていたが、見事に毎日メモすることになり、なんなら戦いが1日に三回くらい勃発するせいで書き残す体力も気力も残らないことを悟った。そこで、なんとか戦いを回避できた日だけメモすることにした。それが驚くほどないため、平和が訪れた日はとにかく休みたい欲求に抗えず、手帳を書くことも忘れるという始末。それくらい毎日が戦いだ。私は、鬱になりましたよ。心療内科で薬を処方してもらい、3ヶ月くらい布団から抜け出せない日々が続いた。(家事、仕事、子育てはなんとかやっていたが、何をしていても布団に潜り込みたい欲求が常にあった)。本当に何もやる気が起きない。調べてみると、この現象は、心理学的にも説明がつくらしいことがわかった。

「ADHDを持つ子供の育児は、外交的行動(反抗、衝動)によっって親のストレスを著しく増大させる。特に思春期以降で合わせてODD(反抗挑戦性障害)がある場合、さらにストレスは増す。子供の情緒的バーンアウトを感じると、親自身の「感情調整能力」や「自信」が低下し、やる気や共感が難しくなる」

らしい。今の私の状況をそのまま解説しているようで、決して私の心が弱いからではないことがわかって少し安心する。

この構図は我が家だけのものではないだろう。布団に潜り続けた日々、私が欲しかったのは、私と同じ境遇だったり、ダメダメだけど毎日こんなんでもしょうがないよねー生きてるだけですごいことだよ、と語りかけてくれる存在だった。もしかしたら、劇的に効果抜群!という解決方法の提示より、こんなんですがダメですかね。。いいでしょ、しゃーないじゃん。というありのままの姿に人は励まされ救われるんではないだろうか。

そんな中、いま楽しみにしているドラマがある。『こんばんは、朝山家です!』というドラマだ。(先週終わってしまった)このドラマの何がすごいって、とにかく何も起こらないこと。実際私たちが生きている世界で起こっていることそのままと言っても過言ではない。私は、観ながらとにかく願っている。頼むからこのまま何も起こらないで。劇的に状況が良くなったり、悪くなったりしないで。頑張って生きているけど、現場はそれほど改善していなくて、でもいい瞬間や最悪な瞬間は確実にあって。それが現実だから。それがおかしなことではないから、と伝え続けて。と。

だから、私もそんな文章を書くことにしたのです。劇的に変わる特効薬話は、詐欺師(これをやれば30日で学校に行けるようになります!とかね)や小説家(小説大大大好きです)に任せて。私は、情けないことも、無駄骨に終わった努力も、そんな努力さえできない日も、布団から出られない精神状態も、ただ書こうと。それで励まされる人が必ずいるはずだ。『こんばんは、朝山家です!』の監督が言っていたように、ありのままが一番面白いと思う。

応援してくれたら頑張れます。HINATA

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